理学療法士なのに、提供するのは理学療法ではない!?

 今回は前回お話しした、理学療法士の開業権についてお伝えします。現在オーストラリアやアメリカなど一部の国を除いて、理学療法士には開業権は認められておりません。つまり理学療法士として仕事をしていくには、医療や介護などの世界でDr(医者)の指示書を元に働くことになります。最近ではDrの指示書がなくとも、予防分野においては一部活動が認められているとのことです。理学療法士法においても、Drの指示の下で理学療法を行う事と明記されております。

つまりDrの指示によらないところで活躍する場合は、それは理学療法ではないとのことです。理学療法士として今まで培った経験を駆使し、評価・治療を行うことは変わりないのですが、法律上それは理学療法を提供していると言えないのです。社会保険制度の継続が不安視されているなか、私のように独立している又はしようとしている理学療法士が増えています。合わせて理学療法士協会は開業権を獲得できるよう政治的な働きかけをおこなっているようです。

わたしも理学療法士の開業権については賛成ですが、日本の医療保険制度は今のままでは維持困難なのは明白なので、自費診療ありきとして、しっかりとニーズのあるサービスを提供できる体制を作ることが先決と思います。そのような自費診療という観点から保険診療を考えてみると、医療者からは様々な制約が生まれてきてしまいます。(国のお金を使うので当たり前ですが。)

アメリカでは医療を提供するにあたり、エビデンスとして確立されていない治療においては保険点数がつきません。アメリカで風邪を引いて受診したら10万円取られたなど日本旅行者のお話しをたまに聞いたりしますが、患者さんが必要な治療のみを同意に基づき提供するのです。理学療法士の間でもエビデンスに基づいた治療の実践ということで、疾患別にスタンダードが確立されつつあります。

私自身もエビデンスを元に評価・治療を実践してきました。そのなかでエビデンスを元にした治療の限界を感じたのです。Drや薬剤師さんはエビデンスを元に診療するのは当然だと思います。その良し悪しを判断する結果を構造的な部分(レントゲン)や検査値(血液や尿)で行う専門家だからです。理学療法士の場合はいかがでしょうか。以前ブログでもお話ししましたが、目的とするのは日常生活の自立度の改善です。つまり理学療法士と目的(結果)の間には患者さん自身の意思や感情が介在してしまうのです。エビデンスとは多数の患者の共通点の中で、一定の法則を導き出す手法です。つまり人間的な部分は削ぎ落としてしまっているのです。しかし日常生活とは人間的な部分そのものだと思います。

そういった中で考えてみると、理学療法士の中でのエビデンスとは最善の治療の選択という意味で使うべきでなく、リスク管理の一環や他職種との共通理解で使われるべきなのかなと思います。もし理学療法士がアメリカの理学療法士のように開業権を得られても、現状では整骨院のように患部治療のみか運動指導士さんの様な役割を担うことになりそうです。

次回もエビデンスを元にした治療の限界について記述していきます。

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