みなさんのなかにはリハビリ=筋力トレーニング、歩行練習など思い浮かべると思います。ただ前回のブログを見ていただいた方はそこに少し疑問が出てきたのではないでしょうか。私自身は筋力トレーニングや歩行練習などを否定しているのではありません。筋力トレーニングを通して、自己達成感や他者との交流、自律神経反射など筋力改善以外の様々な効果が出てきます。筋力改善による直接的な効果以上に間接的な効果はどれも重要なものです。ただ目的とそれに対するリハビリ、そしてその効果を細分化することで、運動療法へのevidenceの蓄積、医療費の軽減、患者さんの健康寿命の貢献につながると考えています。
受動的動歩行についてのお話しの続きです。旧ロボット開発では「ロボットは人間が動かすもの」という考え方が当たり前だったそうです。ロボットをいかに思い通りに動かすかに焦点が置かれていました。ところが新ロボットである受動歩行ロボットは初動の力源のみで、あとは重力を使い歩いて行きます。人間が歩くことを考えなくても自然に歩く様子と同じ様に。名古屋工業大学の佐野教授はインタビューの中でこのようなお話しをされました。「意識的な行動だと考えられていた歩行は行動というよりも、重力によって起きる一種の自然現象である。」つまり生命・非生命に関係なく起きる単なる物理現象なのです。人間はうまくその物理現象を取り入れて、重力を活用し歩いています。
本来、治療のアイデアとして様々な分野の医学的な知見、理論などから発展していくべきですが、旧ロボットのように目的とする部分がずれていては、行き着く先は同じ環境しか対応できない旧ロボットです。歩行はすべての人間が持つ機能を集約しています。寝返りも立ち上がりもランニングも歩行の延長線上にあります。つまり理想的な歩行の獲得は正常な日常生活活動の獲得と言い換えることができます。そして理想的な歩行の獲得には今までブログで述べてきた要素が必要になるのです。
心身調律サロン 坊がマッサージ屋でもなく、フィットネスジムでもない、心身調律を通した身体機能の改善で健康寿命の維持を図るということの意味を感じていただけたと思います。
例え理想的な歩行の獲得が物理的に不可能でも、そのような経験を重力下で行わせるだけでも、また重力下で行えないなら歩行の延長線上にある寝返り動作を通してでも構いません。寝たきりで意識がなくとも、呼吸をしていれば呼吸を通してでも構いません。重力下で生きてきた以上、また人類の歴史を通して蓄積された遺伝子レベルで考えても、動作を行うとき少なからず重力への反応が起こります。その反応を強化していくことが必然的に全身の機能の改善につながっていくはずです。心身調律サロン 坊はまさに重力への反応を強化していく治療です。
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