歩行とは転倒を繰り返す事である

 10月から約2ヶ月間の長期研修が正式に決定致しました。年内の開業準備が間に合うか微妙な所ですが、このような長期研修は二度と経験できないと思い決心致しました。研修内容も小児に対する理学療法です。今後対象とする利用者さん像とは異なりますが、ブログでお話ししている通り、重力下で生活する直立2足歩行の構造を持ったヒトを対象としているため、評価・治療の原則は決して異なりません。今回の研修では小児の発達(脳が成熟していない期間)を通して、脳の発達を促す治療は自分の治療概念とベースとなる考えが共通しているのかを証明したいと思います。これが共通であれば、はっきりと健康寿命に貢献しうる技術であると証明できるのです。

 話は変わりますが、今回そして次回のブログでは歩行について考えていきたいと思います。近年ロボット開発が急速に進み、我々がイメージしているロボットとはまるで異なったものが生み出されています。みなさんがイメージする歩行ロボットといえば重心を制御するために、両膝を曲げて倒れないように歩いている様子が浮かぶのではないでしょうか。しかし現在の最新ロボットは重心の制御という概念ではなく、「倒れる」ことを利用して歩いているのです。受動的動歩行と表現されています。まるで生物のように自然に歩くことができるのです。見てて違和感が出てくると思います、想像するロボットとはまるで異質なものに感じるからです。

この受動的動歩行のメリットとして、人間の歩様により近い点、初速を与えるだけで脚が交互の振り出されエレルギー効率に優れているという点、そして何より動的場面での安定性が高いということです。

いままでのロボットすなわち重心を制御を基盤として、開発を進めた場合に行き着く先はどのようなロボットだったのでしょうか。同じ外的環境での動作であれば受動的動歩行と同様な動きが出来ると思います。しかし実生活では運動の軌跡(関節の曲がる角度など)が無数にある上、まったく同じ外的環境下(1mmも変わらない歩行経路)は起こりえません。逆を言えば、人間や受動的動歩行ロボットは環境からの感覚入力で運動出力を瞬時に決定しているのです。

加齢による退化、痛み、自律神経障害、ストレスなどは身体に硬さを作り出します。いわゆる旧ロボットの重心制御に置き換わっていくのです。しかし本来の人間の歩行というのは歩きたての赤ちゃんの様に重心を崩しながら(極端には転びながら)前に進んでいくものなのです。

そう考えるとリハビリで使う歩行訓練っていう言葉。これって正しいのでしょうか。環境と初動、そして人間と同様の関節構造さえあれば力源がなくともずっと歩いていきます。歩くための筋力がいらないとは言わないですが、筋力ありきの歩行ではないことは確かです。

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