すべての生物は、身体活動をはじめ、睡眠、日光浴、食事内容などが長い年月のうちに決められています。自然環境や外的因子に適応しながら生き延びていくために時間をかけてライフスタイルが確立するのです。300万年前に誕生した人類の場合、農耕革命が起こる1万年前までに形成されたと言われています。ところが農耕革命以降、ライフスタイルは大きく変わり、食生活も激変しました。ここで注意していただきたいのは、その年月の差です。遺伝子を形成した狩猟採集時代はアフリカにいた旧石器時代からの250万年間。それに対し、農耕革命から今現在までは1万年前。狩猟採集時代の250分の1です。更に現在の加工食品が増えた期間は約100年で0.004%に過ぎません。
このように人類史上で考えると農耕革命以降に登場した穀物、豆乳、乳製品、人工甘味料をはじめとする加工食品などは本来の体に適応し切れていないのかもしれません。この食事に対する身体の適応については個人差があるため、一概に合う合わないとは言えませんが、遺伝子に適応していない食べ物は体内で分解できなかったり、細胞や細胞膜を傷つけて炎症を起こしたりして慢性病のもととなることが想像できます。
「1万年以上前の人類には、慢性病が存在しなかった」
ガン、認知症、心筋梗塞、脳梗塞、リウマチ、膠原病、腰痛などの慢性痛などの慢性疾患が存在しなかったとのことで、人類が長期間適応してきた本来のライフスタイルを基本として、その中で未来にむけたライフスタイルに挑んでいくべきです。ただ狩猟採集民社会は平等で、獲得した大型の獲物を公平に分ける価値観を持っていたらしいのです。獲物が捕れることもあれば捕れないこともある、不確実性の高い社会における保険で、互酬性が高ければ生き残る可能性も高まるため、平等性は社会的な知恵でもあります。
この不安定なグローバル、資本主義のもと、平等という言葉すらなくなりつつある世の中ですが、生き方を含め自身と向き合うことが慢性病と向き合う近道なようです。
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