進化論からみた感情の反応の意義

 おかげさまで店舗開店から一年が経ちました。まだまだ社会情勢は不安定ではございますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。さて今までのブログでは物理的な身体の硬さや生理的活動がどのように身体に影響が出るかということでご案内してきましたが、進化論からみた感情の反応の意義ということで、心身の障害との関連性を見ていこうと思います。

進化論では、ヒトが持つ性質や器官は、すべて何らかの理由があって生まれたと考えます。目は周辺の情報を集めるため、足は獲物を追いかけるため、手は道具を使って食料を集めるためなどです。より詳細な器官に目を向けると、眉毛は額を伝う液体から目を保護する役割を持ち、爪は神経の保護や手足のグリップを高めています。かつては不要な臓器とも言われた盲腸にも、近年では腸の働きを正常化する作用があったことがわかってきました。すべてに存在理由があるんですね。

この考え方はもちろん感情の反応にも当てはまります。俗にいう喜怒哀楽と大きく感情の反応を分けた場合、例えば「怒り」の存在理由はなんでしょうか?現代においては「怒り」はネガティブな感情として捉えがちですが、狩猟民族であった時代を考えると、特定の環境で個人の生存を高める為に進化してきたことが想像できます。素早くアクションを起こすには怒りのパワーが欠かせません。つまり生存や繁栄の危機に対して行動の勇気を与えてくれるのが、「怒り」の本来の機能ということがわかります。

それでは「不安」の存在理由はなんでしょうか?それは「警報アラーム」らしいのです。狩猟民族時代に目の前の草が動いた場合など、まだ正体が明らかでない生存の危機を察知し、事前に対策を取れるようにアラームを鳴らすのです。そう考えると確かに「不安」がなければ未来の危険になす術がなく、死に至る可能性が高まってしまいますね。

問題はこの「不安」というアラームが現代人はずっと鳴り止まない状況が続いているということです。かつての「不安」は「今」と「不安の未来」が非常に近い状況にありました。いわゆる「はっきりした不安」です。しかし現在の不安は「ぼんやりした不安」で様々な情報の中、取捨選択が難しくアラームの誤作動を起こし続けています。2013年の観察研究では約7千人の高齢者を10年にわたって追いかけたところ、日常の不安レベルが高い人は心疾患や脳卒中のリスクが29%も高いとのことです。

この負のサイクルをどこかで断ち切らない限り、現代人のパフォーマンスは低下し続けていくばかりです。今一度、自身の体調と向き合っていきましょう。

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